日本口腔感染症学会・セミナー
(スプリングカンファレンス in Kobe 2003)
開催報告
日時: 平成15年5月24日
於: 神戸(新神戸オリエンタルホテル)
テーマ: 口腔感染症と院内感染対策

 

教育講演:

本当に耐性菌は増加しているのか 

最近の動向とコストベネフィットからみた抗菌薬選択法

東海大学医学部機能再建学系口腔外科学分野 

教授

金子 明寛

   

特別講演:

手術室内感染の現状と防止策

大阪大学大学院医学系研究科生体機能調節医学(麻酔科学)講座

教授

真下   


 去る5月24日(土)、日本口腔感染症学会・セミナー スプリングカンファレンスin Kobe 2003「口腔感染症と院内感染対策シリーズ」が新神戸オリエンタルホテルにて80余名の参加者をもって開催され、教育講演と特別講演の2つの講義が行われました。

受付風景 開会の辞:島田 理事長

教育講演:金子 明寛 先生 座長:大西 正信 先生

 東海大学医学部口腔外科の金子明寛教授には、「本当に耐性菌は増加しているのか −最近の動向とコストベネフィットからみた抗菌薬選択法−」と題して、抗菌薬を耐性にしないために我々歯科医師が守るべきことについて薬剤の選択法も含めてEBMをもとにお話いただきました。薬剤だけに頼らないことが大切で、必要に応じて適切な切開減圧処置や原因歯の根管処置などを行うことの重要性が特に強調されました。また、急性期と慢性期では抗菌薬の選択にも違いがあり、歯周病の急性化にはアジスロマイシン(ジスロマック)が有効であることや、コスト面からの選択に関する話題提供もしていただきました。


特別講演:真下 節 先生 座長:駒井 正 先生

 また、大阪大学医学部麻酔科の真下 節教授には「手術室内感染の現状と防止策」と題して、今日の大学病院の手術室ではどのような感染症が問題になっているのか、その現状と対策について感染経路の面からエビデンスをもとに具体的にお話いただき、歯科にも共通する基本的な感染対策の考え方が重要であることが改めて確認されました。

 つまり、すべての患者さんをなんらかの感染があるものとして扱うこと(SP:standard precaution)が基本であり、そのうえで、個々の病原細菌やウイルスの特性を加味した感染予防策を考えることが重要であることを強調されました。たとえば、SARSでは基本的な感染対策に加えて接触や飛沫感染、場合によっては空気感染であることを対策に加味することになります。
 新しい抗菌薬は、向こう10年間、世に出ないといわれています。したがって、今ある薬剤を耐性菌が増えないようにして永く有効に使っていかねばなりません。そのためには感染に対する基本的な考え方を身につけるのと同時に耐性菌の問題や新興、再興感染症に関する新しい情報を収集していくことが必要になるでしょう。

 その意味で、本学会のセミナーはこれらの情報提供に大きな役割をはたしているものと思われます。今後もさらに充実した内容でセミナーを開催していく予定ですので、ご期待ください。多数のご参加をお待ちしております。


聴講風景 閉会の辞:浦出 副理事長