第14回 日本航空感染症学会 開催報告

(学会事務局)

第14回日本口腔感染症学会総会・学術大会は、いわき市立総合磐城共立病院歯科口腔外科の椎木一雄部長を総会長として平成17年11月12日(土)、いわき市(いわき市総合保健福祉センター)において154名の参加者をもって開催されました。

学術大会は「くすりでは治せない口腔内バイオフィルム感染症」のテーマで特別講演とランチョンセミナーさらにシンポジウムが企画され、5題の一般口演が行われました。  
総会では、次々期(平成19年度)総会長候補に東海大学医学部機能再建学系口腔外科学部門 金子明寛教授(本学会常務理事)が推薦され承認されました。また、次期理事長に兵庫医科大学口腔外科学講座 浦出雅裕教授が推薦されました。

特別講演は、東京歯科大学大学院研究科長、微生物講座教授の奥田克爾先生に「薬では治せない口腔内バイオフィルム感染症」と題してバイオフィルム感染症に関する基礎知識、プラーク特性と全身との関連・治療そして課題について最新の話題を提供されました。口腔バイオフィルムはプラークとして細菌生存集落を形成し、容易には薬剤での崩落を阻止する堅固な城砦であり、物理的刷掃および外科的処置が最も的確なプラーク除去方法であることは、昔も今も変わっていないことを強調されました。

ランチョンセミナーでは「インフルエンザ最近の話題」として、島田桂吉先生(本学会理事長)を座長として、福岡県赤十字血液センター所長 柏木征三郎先生が鳥インフルエンザにおける直近の課題を提供いただきました。世界的規模のインフルエンザ蔓延の可能性をシミュレートされ、会員のみならず日本国中の皆様への警告的なお話でした。

シンポジウムでは「感染性心内膜炎と歯科治療」をテーマに、坂本春夫先生(東海大学医学部付属八王寺病院口腔外科助教授)をコーディネーターとして5名のシンポジストにより討論が行われました。

まず、内藤博之先生(いわき市立総合盤城共立病院歯科口腔外科科長)は、「感染性心内膜炎に対する意識調査」と題して、過去に行った福島県歯科医師会会員へのアンケートと今回のいわき市歯科医師会員を対象にしたアンケート結果を比較した結果と、それをもとに今後検討すべき問題点をお話いただきました。IEはその認識と実践的な予防方法について教育啓蒙すべき機会が少ないこと。推奨されている予防法が投与量など実情と乖離しているため一般臨床家に受け入れられにくいことが問題点であることを指摘し、さらに今後の展望として歯科医師だけでなく循環器専門医とハイリスクの患者さんの3者を含めて横断的な啓蒙活動が必要であることを強調されました。

続いて、田口淳一先生(東海大学医学部付属八王寺病院循環器内科助教授)は、「感染性心内膜炎とはどんな病気か」と題され循環器専門医の立場からその病態と治療の難しさをわかりやすく説明していただきました。予防にあたっては、本疾患が自然治癒傾向のない進行性の重症全身性感染症であるという認識が必要であることを述べられました。
 さらに中林 透先生(北海道医療大学歯学部内科学講座助教授)は、「JCS2003から考えること 歯科医への提言」と題され、歯科医に対して次の3点を強調されました。第一は、IEのハイリスク群の認識をすること。医科主治医への照会と病態の理解をしておくこと。第二に、IEを引き起こすような出血を伴う歯科処置を認識しておくこと。第三は、アモキシシリン2g処置前1時間前投与を原則とする予防投与法の理解と実践を心がけることの重要性を述べられました。
また、安藤智博先生(東京女子医科大学口腔外科上教授)は、「一過性菌血症と歯科治療」と題して、抜歯後の血液培養による一過性菌血症の発現率と消毒、抗菌薬の効果について検討した内容を報告されました。結果として、抜歯後の一過性菌血症はほぼ前例に発生しており、抜歯部位の消毒や術前の抗菌薬投与でもその発生を十分に抑制することは難しいが、感染性心内膜炎の予防には投与しておく必要があることを改めて強調されました。

最後に、コーディネーターでもある坂本春夫先生から「抗菌薬の予防投与について」と題して、感染性心内膜炎の予防として抗菌薬投与の臨床的有効性に疑義を唱える報告事例を取り上げ、世界の歯科医が混乱させている面もあることを指摘されました。しかし、ハイリスク患者の予防投与ありとなしでの比較試験が倫理的に実施できないため予防投与の効果を証明することはできないが、抗菌薬の予防投与をしないで心内膜炎を発症する可能性のある患者を治療することはできないことを改めて強調されました。

フロアからは、予防投与として推奨されているアモキシシリン2g(8錠)の投与は、下痢の問題や患者さんへの説明など投与するうえで苦慮する具体的な問題点に関して質問が集中し、非常に活発な討論がおこなわれました。今後は学会としても患者さんへの説明用のパンフレットなどを作製してほしいなどの希望もあり、学会として検討することになりました。

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学  会  風  景

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