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第13回日本口腔感染症学会総会 開催報告
学術大会は「HIV感染症/AIDSと歯科医療、口腔管理」のテーマで特別講演と二つのシンポジウムが企画され、7題の一般口演が行われました。 総会では、次々期(平成18年度)総会長候補に大阪歯科大学薬理学講座 大浦 清教授(本学会理事)が推薦され承認されました。 特別講演は、国立病院機構大阪医療センター HIV・AIDS先端医療開発センター長・臨床研究部免疫感染研究室室長(併任)・免疫感染症科長の白阪琢磨先生に「HIV感染症/AIDS」と題してHIV感染症に関する基礎知識、疫学、治療について最新の話題を提供していただいた。そのなかで、HIVに対する多剤併用療法の開発進歩により、かつて死をイメージしたHIV感染症も20年30年と長生きできる慢性疾患になりつつあることは明るいニュースであるが、先進国の中で若い世代を中心に感染者数の増加が続いているのは日本だけであることに触れ、わが国もこの事実を真摯に受けとめ若年者に対するきちんとした対策が早急に必要であることが強調されました。 シンポジウムIでは「HIV感染者と歯科医療」をテーマに、池田正一先生(神奈川県立こども医療センター 歯科部長)を座長として4名のシンポジストにより討論が行われました。まず、大石建三先生(大阪市立総合医療センター口腔外科医長)は、AIDS拠点病院歯科の立場から実際に治療してきた75名のHIV感染者の詳細について報告されました。 現在ではHIV感染者の歯科治療は拠点病院歯科や大学病院で行われているのがほとんどであるが、今後はHARRTにより病状の安定した患者さんは開業歯科で治療や予防処置を継続して行えるようなシステム作りが必要であることを指摘されました。続いて、前田憲昭先生(医療法人皓歯会理事長)は、開業医としてHIV感染症の患者さんを数多く診てこられた経験をもとに、HIV感染症が慢性疾患になってきたことから患者さんの長く継続した受信行動を促すための努力が重要であることを示されました。 さらに柿澤 卓先生(東京歯科大学水道橋病院 口腔外科教授)は、HIVをはじめ感染症に偏見を持ち、診療を忌諱する既成の歯科医師にHIV感染者治療を再教育することは難しく、将来を担う歯学部学生や臨床研修医を教育した方が遥かに効率がよいとの考えから、歯科大学学生に対してHIV感染症に関してアンケートを実施された。 その結果、実際には歯科大学病院といえどもいまだにHIV感染者の治療に消極的な施設も多く、教育もままならない状態であることが浮き彫りとなり、歯科大学教育指導者の意識改革と感染予防関連教育の整備が急務であることが強調されました。最後にHIV感染者のカウンセラーとして活躍しておられる安尾利彦先生(国立病院機構大阪医療センター HIV・AIDS先端医療開発センター) は、歯科の受診を巡るHIV感染者の心理的な側面を紹介されました。 たとえば、HIV感染者自身がほかの患者さんに感染させるかもしれないという心配や、歯科医に診療を拒否されることへの恐怖から受診しない場合も少なくないことから、受診行動をサポートする意味でも、たとえその診療所が現時点では受け入れられない状況であったとしても門前払いせずに患者さんの話を聞いて歯科治療を受けられる他の施設を紹介できるように心理的な側面での十分な理解と配慮が必要であることを強調されました。 シンポジウムIIは「HIV感染症/AIDSと口腔管理」のテーマで、総会長の連 利隆先生を座長に歯科衛生士や学生のために特別に企画されました。まず、国立国際医療センター エイズ治療・研究開発センター の歯科衛生士 中野恵美子氏は、エイズ治療・研究開発センターの活動を通して今後増加しているHIV感染者の口腔ケア、治療における歯科衛生士の役割が益々重要になることを指摘し、HIVは身近な疾患として理解しきちんとした対応が必要になってくることを強調されました。 また、皓歯会の主任歯科衛生士 溝部潤子氏はHIV感染者の歯科診療でスタンダードプリコーションの具体的な方法を示された。大阪市立総合医療センター口腔外科の歯科衛生士 森本浩公氏はHIV感染者/AIDS患者に対する口腔衛生指導の経験から、個々の免疫能を配慮した口腔ケアが必要であることを指摘し、HIV患者さんの免疫能を知るための基本的なデータとしてRNA数とCD4値が特に要であることを強調された。 最後に座長の連総会長は、HIV感染者のQOLの向上には口腔ケアや口腔衛生指導が不可欠で歯科衛生士の役割が重要であることを強調し、そのためには感染症に関する正しい知識と理解が重要であると総括してシンポジウムを終了しました。 ▼以下の当日の写真は、それぞれをクリックして頂けば、大きいサイズにてご覧頂けます。 |
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