歯科大学口腔外科の立場から

大阪歯科大学口腔外科学第二講座
覚道 健治

 歯性感染症に対する経口抗菌薬については、 最近 「歯科・口腔外科感染症研究会」 での成人の軽度および中等度の歯性感染症の起炎菌分布と主要経口抗菌薬 (CFPN、CEDN、AMPC、CAM)の MIC についての報告があり、その中で菌種別には Streptococcus属128株、Prevotella属64株、Peptostreptococcus 属77株、 その他62株であり、 MIC 分布では4薬物とも良好な数値を示していた。 軽度および中等度の歯性感染症では、 大学病院などの二次医療機関と、 一次医療機関との起炎菌の差異はほとんどなかった。 歯科大学口腔外科における抗菌薬の使用動向を知る目的で、 大阪歯科大学附属病院の歯科系外来における2002年8月1日から2003年7月31日までの1年間の経口抗菌薬の使用状況について調査した。 使用されていた経口抗菌薬は29種類で、 ペニシリン系5、 セフェム系8、 ペネム系1、 マクロライド系3、 テトラサイクリン系2、 その他2であった。 最も処方された患者数の多かった経口抗菌薬は、 セフカペンピボキシルで、 次いで塩酸レナンピシリン、 セフジトレンピボキシル、 セフジニル、 クラリスロマイシンの順であった。 しかし、 口腔外科では少し異なり、 塩酸レナンピシリン、 セフカペンピボキシル、 ファロペネムナトリウム、 セフジニル、 クラリスロマイシンの順であった。 口腔外科ではほとんど処方されていないのに歯科系他科で処方されていた抗菌薬はセファレキシンであった (図1)。 また中等度から重度の歯性感染症に対する経口抗菌薬と併用した経静脈抗菌薬は、 健康保険で外来における1回投与が認められているセフェム系のセフトリアキソンナトリウムの使用がほとんどであった。 佐々木 (2003) によると、 エステル型経口セフェムでも最近耐性菌の出現がみられ、 セフテラムピボキシルおよびセフポドキシムプロキセチルでは最大量を投与しなければ効果が少ないことが報告されている。 歯性感染症に対する、 外来での私の選択する抗菌薬は、 軽症歯性感染症では、 第一選択は、 エステル型セフェム (塩酸セフカペンピボキシル、 セフロキシムアキセチル、 セフジトレンピボキシルのいずれか)、 非エステル型セフェム (セフジニル)、 ペニシリン系 (レナンピシリン)、 第二選択はファロペネムナトリウム、 ニューキノロン系であり、 さらに中等度症歯性感染症では、 エステル型セフェム (塩酸セフカペンピボキシル、 セフロキシムアキセチル、 セフジトレンピボキシルのいずれか) の内服に注射薬のセフトリアキソンナトリウムの併用である。