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抗菌薬選択の原則は抗菌力・移行濃度・安全性であるが、 歯性感染症の起炎菌の研究は二次医療機関からのものであり“一般開業医でも原因菌は同じか?”という疑問は長年の懸案であったが、 昨年の第50回日本化学療法学会総会における歯科・口腔外科領域感染症研究会の報告によって、 一次医療機関も二次医療機関も施設間での検出菌に差はなく、 ともに口腔連鎖球菌と Peptostreptococcus、 Prevotella などの嫌気性菌が主体であることが確認された。 同条件なら同様な抗菌薬が投与されるはずであるが、 実際には多種多様な抗菌薬が投与されている。 近隣の歯科医40名の協力を得て、 使用抗菌薬についてアンケート調査を行った結果、 第1選択薬はセフェム系65%、 ペニシリン系15%、 マクロライド系15%、 キノロン系5%だった。 新しい薬剤は CFPN-PI 8、 CDTR-PI 3、 AZM 3、 と35%で、 単純に考えれば残り65%が10年以上同じ薬剤を使っていることになり、 耐性菌の増加している CCL も2名が使用していた。 しかし、 約80%が効果にほぼ満足しており、 効きが悪くなったと答えたのは3%であった。 一般開業医の立場では、 きれあじの良い新しい抗菌薬を使いたいところであるが、 私を含め多くの歯科医はリスクの少ない使い慣れた薬剤を選ぶ傾向にある。 Active な抗菌薬選択をする2次医療機関との違いだろう。
軽症例が多い一次医療機関では経口薬が対象となるが抗菌薬選択の基準は
1) 口腔連鎖球菌と嫌気性菌に抗菌力を持つ
2) 血中、 目標組織、 病巣への移行がよい
3) 安全性が高い (副作用など少ない)
4) 他剤や食物との併用禁忌が少ない。
5) 食事の影響を受けにくい。
6) 服薬しやすい (特に小児で味、 剤型など)
7) 飲み忘れしにくい (服薬回数、 時間など)
8) 経済的負担が少ない (後発薬品など)
などが挙げられるが、 3原則に加え服薬 Compliance を上げるため、 4) から7) に示すように、 より飲みやすい条件で確実に飲んでもらうことが、 重症化させずに Primary care を成功に導くことになる。 私なりに表1のように抗菌薬を大きく系統ごとに評価してみたが、 各系列の中でもそれぞれの弱点が改善された薬剤が開発されているので、 患者さんの状況にあったものを選択する。 現在、 私は口腔連鎖球菌に対する感受性の低下の報告もあるが、 まだまだ高感受性を示している上、 他剤と併用しやすく、 使い慣れた LAPC を第1選択薬として使用している。 しかし、 最近の使用状況を調査してみると、 3年前に比べ1日投与量を750mg から1000mg に増量設定した症例が増えており、 やや切れ味が鈍ってきたように感じている。
第2次選択薬としては、 AZM、 LVFX、 CFPN-PI を用意しているが、 抗菌薬の変更のみで効果が得られた症例はほとんどなく、 歯牙処置を含めた外科的な処置の成否が効果に影響していると思われる。 そこで、 既存の経口抗菌薬の抗菌力を十分発揮させるため、 1) 初回投与量を倍量とし、 根管治療や切開などの処置前に飲ませる。 2) β-ラクタム剤では投与回数を増やす。 3) 抗菌薬投与中は安静を保つよう指導する。 など薬剤の性格を把握した上で選択し、 与薬の工夫をすることが治療成績を上げることになる。
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