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口腔レンサ球菌による感染性心内膜炎 |
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病巣感染に関する研究の永い歴史の中で、 口腔微生物の全身感染症への関与には強い関心が集められてきた。 感染性心内膜炎については、 これまで主に臨床細菌学的な証拠を基に、 その主要な原因菌はビリダンスレンサ球菌であること、 感染源は主に口腔にあることが指摘されてきた。 事実、 口腔の常在微生物のうちではレンサ球菌が数的に圧倒的に優勢であること、 一般の歯科治療や食物の咀嚼時にも一過性の菌血症がしばしば起ること、 また、 菌血症の血液あるいは感染性心内膜炎の病巣部から口腔常在菌と同一のレンサ球菌種が頻繁に分離されることなどが広く知られてきた。 こうした臨床的所見を背景に、 歯垢の主構成菌である Streptococcus sanguinis や齲蝕原性 Streptococcus mutans はウサギやラットの実験的心損傷部に高い感染性を示すこと、 それには菌体外産生物 (デキストランや slime) あるいは菌体表層物質 (リポタイコ酸やフイブロネクチン結合因子) が関与することが実験的にも示されてきた。 我々は、 全身各部の化膿性病変の原因菌の一つとして知られる Streptococcus milleri group および“culture-negative”な感染性心内膜炎の原因菌と目されている Nutritionally variant streptococci をヒトの口腔から多数分離し、 これらの口腔由来株のラットにおける心内膜炎誘発能を検定した結果、 Streptococcus anginosus または Granulicatella (Abiotrophia) adiacens に属する菌株が実験的心損傷部に定着する能力が高いこと、 それらはフィブロネクチンに対する親和性が高いものが多いことを明らかにした。 これらの結果は、 口腔常在細菌、 殊にビリダンスレンサ球菌は、 感染性心内膜炎の重要な原因菌であるとする、 従来からの臨床的所見に基づく考えを実験的に強く支持する。 |