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近年、 歯周病と心内膜炎、 早産や低体重児出産との関係などが相次いで報告されるようになり歯性病巣感染が改めてクローズアップされている。 しかし、 口腔内の病巣が全身的な二次病変の原因であると証明することは現在においてもきわめて困難といわざるを得ない。 当教室ではかつて口腔内炎症巣から検出した細菌と患者血清との凝集反応を行い歯性病巣感染としての解析を試みた。
症例は61歳男性であり、 当科を受診する3ヶ月前より順次両下肢に腫脹、 疼痛、 発赤を認めるようになった。 当院皮膚科では血栓性静脈炎による結節性紅斑様皮疹と診断され、 歯性病巣感染の検索のために当科を紹介された。 口腔内衛生状態は不良で歯周炎が進行しており、 X線写真上では嚢胞様透過像も認められた。 そこで歯牙はいずれも保存不可能と判断し、 抜歯とともに小指頭大の嚢胞を摘出した。 術後20日目頃より結節性紅斑様皮疹は徐々に消退し始め、 以降再発することはなかった。 炎症の臨床検査成績も術後の皮膚科疾患の改善とともに低下を示した。 また、 患者血清と嚢胞より分離された菌体との凝集反応を施行したところ凝集価64まで反応した。
この凝集反応が歯性病巣感染解析の有力な手段となるのではないかと考え、 その後17例にこの方法を行った。 しかし、 原病巣が口腔にあると考えられた症例でもすべてが凝集反応において高値を示すとは限らず、 一つの参考資料とはなるものの、 確定診断とするには困難であることが判明した。
口腔内炎症部の起炎菌が二次病変においても検出され、 かつ遺伝子レベルでも同一であると確認されるか、 あるいは二次病変が原病巣の菌が持つ代謝産物によるものであると明確に証明される以外は、 臨床的に口腔内原病巣の治癒と二次病変の症状が軽快した時間的経過の合致をもって推論せざるを得ないことに以前と変わりはなく、 今後さらに機序解明のための研究が進められることが望まれる。
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